No.114 アナタノ手
今回は8th Albumより「アナタノ手」をpick up。
スローテンポでイントロ・アウトロの春らしいピアノ伴奏が印象的だったので選んでみました。
失恋の曲で、別れる瞬間、後ろ髪を引かれつつ別れを告げるまでの気持ちが描かれているこの曲。
1番では、別れるときの頼りなげな相手の顔を見て「このまま 時を止めて 同じ未来見ていたい」と 後ろ髪引かれている思いが歌詞に綴られています。
でも1番メロの最後のフレーズ「この手を振りほどけない 傷つけあうだけなのに」とあるように、 ちゃんと想いを振り切って別れないと・・・という気持ちが2番以降の歌詞に綴られています。
一度振りほどけなかった手は2番以降のサビにあるように、あなたが夢を掴むためにあるのだと、 そう思う(思い込む)ことで未練を断ち切るという主人公のつらい気持ちが伝わってきます。
歌詞の一番最後のフレーズでは「そっと今 手を振りほどく」と綴られていて、うまく未練を断ち切って別れられたように見えます。
でもその直前の歌詞で「後悔しないように...」と歌と歌詞で一瞬ためらいを感じるような表現がされていて、 それでもどこか未練を捨てきれないでいる主人公が目に浮かんできたり・・・。
別れる時の何とも言えないもどかしさがうま〜く描かれていて、聴いてる方も「うむむ」と唸っていしまいそうです(笑

歌詞カード中で「さよなら」を「サヨナラ。」とカタカナ表記している点も主人公の気持ちを探る上では気になるポイント。
カタカナだとなんだかさらっと言っているような、もしくはちょっといいかげんな感じで言うような印象を受けます。
「さよなら」と言えばいいのになんて思うところですが、真面目に言うと未練や悲しさに耐えられないのでしょうね。
ちょっと茶化したり、そっけなくじゃないととても言えないといった感じでしょうか。
これも相手と別れて悲しい気持ちの裏返しなんだろうなぁと。
セルフライナーノーツでこの曲について 「やっぱり私は肝心な時に強がってしまう可愛くない性格なのでしょう。」 と小松さんが書いていたのですが、 この辺のことを言ってるんだろうなぁと思いました。
そうするとタイトルの「アナタノ手」というのも同じような気持ちが込められている気がして、 もう忘れないといけないと思いつつも、未練があってうやむやなまま心に残っているのかな?と思わせてくれるところです。

・・・とまぁかなり妄想が入っていますが(笑)、 歌詞カードも合わせてみるとより主人公の気持ちが読み取れる点でおもしろく深い曲だなぁと思いました。