No.101 gift
今回は5th Albumより「gift」をpick up。
イントロ・アウトロのギターとピアノが哀愁漂うこの曲。
バックサウンドが少しもの哀しげで暗い雰囲気がする一方、 歌詞の世界はかなり深くて強いメッセージ性があり、 ふつふつと熱ささえ感じる内容になっています。
おおまかな内容としては、自分自身を見つめなおし向かうべきところへ向かうぞという、 人生観のような内容が歌詞に描かれています。
2番Aメロ「過ぎた日の残響が懐かしさ誘う 縋ればすべてが根元から崩れるだろう」は、 以前、自分や誰かが抱いていた想いばかりに囚われていては、前へ進めないということでしょうか。
またサビに繰り返し出てくる「想いを打付けずに 引き下がりはしない」というフレーズは、 打付けずだと「何がなんでも想いを届けるぞ!」ぐらいの強い言葉で、主人公の堅い決意を感じます。
しかし、人間いくら堅い決意をしたとしても、つい弱気になってしまう時もあるのでしょう。
ラストサビ前のメロで 「悩ますもののない世界へ行けるとしたら すべてを差し出すよ 命さえ惜しくない」という歌詞があります。
「そんな世界があったら自分を奮い立たせるなんてこともなく、正直どれだけ楽なのだろう」という主人公の気持ちでしょうけど、 こういった現実逃避なイメージ(フレーズ)が出てくるあたりに人間味があっておもしろいなと思いました。

あとこの曲、ちょっと深読みしてみますと、 個人的には制作における小松さんの心境がかなり反映されているのでは?と感じました。
例えば、一番最初のフレーズ「流れゆく星にも願いはあったのに 一瞬で燃え尽きて 蜉蝣のように消える」。
これって小松さん自身の境遇を表しているような気がするのです。
1st〜3rd Albumあたりまでかなり売上枚数があったのが、以降ググッと落ち込んでいくわけですが、 その時の小松さんの境遇がこのフレーズであり、 後のフレーズ(サビ)がその境遇の中でも自分はこうしていく!と抱いた心境なのかなぁと。
また2番サビに「どんなに叫んでも 心は奪えない」というフレーズがありますが、 7th Albumのセルフライナーノーツで「深い感謝の気持ちはどうしたら届くのだろう?と思っては空回りばかり。」という コメントがあり(同様のコメントはよく見かけます)、これに通じるものを感じるんですよねぇ。

そんなわけで、じっくり眺めてると奥が深いですな、この曲は(笑
深読みの話を考えたとしても、やはりサビのフレーズに小松さんの気持ちが集約されているなぁと思いました。